まさに国をあげて突き進む構図だ。先週、草なぎ剛がCMキャラクターに復帰するのに合わせて開催された「デジタル放送完全移行推進の集い」なるイベントである。総務大臣や官房長官といった政治家、NHK、民放のトップが挨拶し、草なぎや女子アナの他に「地デジで元気!音頭」を歌う北島三郎やら「地デジ芸人」としてキャンペーンを行うテツandトモの紹介などを派手に行ったのだ。 この集いが行われたのは地デジに完全移行される11年7月24日まで2年であること、地デジの世帯普及率が60%を超えたことが理由だが、実際に騒いでいるのは国、メーカー、テレビ局であって庶民にとっては「それが何か」ではないか。 そもそも全5000万世帯のうち、購入したのは3000万世帯で普及率60%という数字が、噴飯ものだ。普及率を正しく出すには、まず出回ったテレビ台数から、家庭にある2台目以降の台数と、店・会社・役所など家庭以外にある台数を差し引く。その結果を5000万で割って100倍する。これだと「実際の世帯普及率は40%前後だろう」(放送に詳しいジャーナリストの坂本衛氏)という。 また、独居老人が見ている小型テレビにアダプターをつけて地デジを見る場合、アダプターは5000円で済んでも、一戸建てならアンテナ工事に約3万円、二階屋で室内配線をすればさらに3万円ほどかかる。1万〜2万円で買った小型テレビで低画質の地デジを見るのに、数万円以上かかるのでは、誰も地デジになんかしない。●11年完全移行は無理 そのほか、全国紙も指摘しているマンションなど共同住宅や山間部の対応などは後手後手だ。「米国は06年のアナログ停止計画を3年先延ばしにしてやっと6月に地デジに移行。80%を超える普及率の英国は12年に停止の予定です。それなのに、普及率60%の日本が11年というのは机上の空論」(坂本衛氏=前出) まして庶民は地デジで何が変わるかもボンヤリしたまま。地デジの合唱がピンとこないのは当然のことなのだ。(日刊ゲンダイ2009年7月28日掲載)

(ライブドアニュースより引用)